皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!
私は新卒で葬儀社に勤めておりまして、現在でも辞めた葬儀社の方とお会いする機会があります。
先日も久しぶりに勤務していた葬儀社の元同僚にあってまいりましたが、葬儀業界もすこしずつ変わってきているとのことでその点について考えたことを記事にします。
昨今葬儀業界が大きく変わった点は2点あります。
①ネット紹介型の葬儀社が出てきた点
②火葬場の料金があがっている
の2点です。
①のネット紹介型の葬儀社についてですが、この業態が出てきたのは比較的前からです。
従来からブラックボックスが非常に大きかった葬儀業界ですが、ネット紹介型ではセットプランなどで葬儀の総額が提示されてパッケージとして商品設計されていることが多いようです。
ここで提示されている金額は当然従来の葬儀社が提供していた葬儀代金からかなり安く提供されており、消費者としては喜ばしいのかもしれません。
しかし、ネット紹介型の場合、葬儀の執行をするのは個人事業主や、中小の葬儀社などであり、値段は一緒であっても商品の品質にはばらつきがあります。
また、執行する葬儀社には価格の決定権がなく、マージンもかなり高いため消費者が安くない費用を払っても思うような式にならないこともあります。
それで結構トラブルになっているとのことで、その場合であってもネット紹介会社はつないだだけですので式の執行の責任まではとってはくれません。
ネットの普及でブラックボックスがクリアになるかと思いきや、根深い問題に拍車がかかったような印象を受けました。(もちろん昔から明朗会計を謳っている葬儀社様がいらっしゃるのは承知の上ですが、数としてはそう多くないと思います。)
②火葬場の料金があがっている点についてですが、東京23区の民間の火葬場を運営している東京博善社は、昨年中華系の資本が入って露骨に火葬料金があがっています。
多摩地域では自治体運営の火葬場があるものの、価格の安さから人気が殺到しており予約が取れない状態です。実は火葬を待っているだけでもコストがかかっており、ご遺体の腐敗が進まないように毎日ドライアイスでのお手当が必要になります。だいたい1日1万円程度です。いつまでも待っているわけにもいかないため、多摩地域のお客様でも東京博善社がもっている23区内の火葬場での火葬をせざるをえないという状態になっています。葬儀社としても東京博善社の出入りを禁止されると、事実上葬儀社としては営業できませんので、反対の声を上げづらい状態になっています。
火葬ができるかは公衆衛生上もライフラインですので、火葬場を運営している会社に中華系の資本が入って、利益追求路線に入ったことは結構危険な状態だと思っています。
翻って司法書士業界についても規模は異なりますが似たような構造になっていると思っています。
ネット銀行と提携して事実上の紹介料から利益をあげている会社は上場を果たしています。
これだけ既成事実が積み上げられてしまうと、不当誘致としての責任を追及することもなかなか難しいのではないでしょうか。事実上の中抜き構造ですが、ネット銀行を抑えられている以上、司法書士業界はどうしようもありません。マージンは今後も取られ続けるのでしょう。私には葬儀社が源泉営業に苦労してネット紹介会社に中抜きされている構造とネット銀行と提携している紹介会社が司法書士の登記費用を事実上中抜きしていることが重なって見えます。
くわえて司法書士の登記業務は比較的単価が安い部類の業務です。
単価が安い場合、定型化しやすい業務を大量にさばくことで利益を得る構造になります。
ひところの過払い金バブルも終わりましたので、日本の司法書士事務所で大規模化している事務所は、たいてい不動産会社様や葬儀社様から紹介を得て大量に案件を受任して処理するケースが多いようです。(司法書士法人の司法書士所属数をもとに考察しております)
不動産会社様や葬儀社様は一件の単価が比較的高い傾向にあるため、高い売上金を莫大な広告費や源泉営業に使うことができますが、単価が安い司法書士の場合は無理な源泉営業ではなく紹介してもらうことが一番手っ取り早いと思います。
一度紹介関係を構築してしまえば、今後はそれ以上営業に大きなコストを支払いつづける必要性がないためです。少なくとも広告営業のような源泉営業に多くの費用をかける必要はなさそうです。(このあたりは広告に力をいれている司法書士事務所の経営者様に怒られそうですが経営初心者の素人考えとして一笑に付していただけると幸いです。)
その場合、事務所規模の帰趨は提携先の不動産会社様や葬儀社様の数ということになりそうです。こういった具合に川下にいる限り司法書士が下請け的な仕事にならざるをえないのもやむなしかなと思います。
このあたり、火葬場を抑えられた葬儀社様と仕事を紹介するという意味で優越的な位置にある不動産会社様と司法書士の関係に近しいものを感じます。
この考察は司法書士の仕事をあえて矮小化して考えています。
司法書士の仕事は登記に限られませんので別の業務を行っている同業の先生方のご気分を害することを目的としたものではないことを、念のため申し添えておきます。
以上、「昨今の葬儀事情と司法書士業界について~葬儀社勤務の元同僚の話を聞いて考えたこと~」でした。
お読みいただきありがとうございました。