相続人として1000万円もらえたはずの相続で実は損していた?!~「知らない」ということのコスト~

先日受任した相続案件で1000万円もらえるはずの方が、みすみす逃してしまった方の事例がありましたのでブログにします。

司法書士には守秘義務がありますので事例をそのままお伝えすることはできません。

一部脚色の上お話させていただきます。

都内のとあるマンションに住むAさんからの依頼でした。

夫であるBさんを亡くして相続が発生したので相続登記のご依頼をいただきました。

AさんとBさんとの間には子供はなく、戸籍などの調査で相続人は配偶者であるAさんと亡くなったBさんの異母兄弟の子供であるCさん、Dさん、Eさんということが分かりました。Bさんからみて甥姪にあたるというべきでしょうか。

このCさんらですが、被相続人であるAさんとは会ったこともなければ見たこともない、話にも出てこないくらい赤の他人の状態でした。

こちらから相続人になっている旨をお伝えしても、よくわからないの一点張りで書類に押印頂いたり印鑑証明書を頂戴したりするのが難しい案件となってしまいました。

結局遺産分割協議がまとまるのに時間はかかりましたが無事成立することにはなりました。

遺産分割協議の要旨としては「被相続人の財産とよべるものはAさんとBさんが暮らしていたマンションくらいのもので年金暮らしがながく、相続人に分けるべき財産もないことからCさんにハンコ代として10万円支払うことでマンションの所有権はAさんが引き継ぐ」という内容で協議がまとまりました。

無事登記の書類はそろい登記も完了したのですが後日談としてAさんは亡くなったBさんから相続したマンションを結局は売却することとなったそうです。

その額なんと4000万円!

Cさんらは兄弟姉妹の代襲相続人ですので4000万円のうち4分の1の1000万円は相続できるはずでした。

しかし自分の置かれた状況を理解しようとせずハンコ代10万円で済ませてしまったのです。

もちろんCさんらはBさんとは面識もないため棚から牡丹餅でお金が入ることになるほか、配偶者であるAさんにほとんど残る結果となり、ある意味妥当な相続といえるかと思いますが、Cさんらが法定相続分の存在を知っていたらこのような結末にはならなかったように思います。

またこのようなことになるならば、Bさんもはじめから遺言書を遺しておくべきであったと言えるでしょう。こちらも知ろうとしなかった損失であるといえそうです。

「知らない」「知ろうとしない」という態度には時として大きな損失になってしまうということを実感させる事例でした。

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