目次
①専住(センジュウ)
正式名には「住宅用家屋証明書」
ある一定の要件を満たすと住宅についての登録免許税が安くなる証明書。
市役所、区役所で発行してもらえる。費用は1300円。
登録免許税の本則では売買を原因とする所有権移転登記の登録免許税は(固定資産評価額)×(20/1000)だが、中古の住宅の売買だと(固定資産評価額)×(3/1000)となるなど大幅に登録免許税が変わる。また抵当権設定登記の登録免許税も本則の(債権額)×(4/1000)から(債権額)×(1/1000)と変わる。この見積りを間違えると事務所かお客様のどちらかが大きな損失を被ることになるので注意する。住専(ジュウセン)とすると過去に問題を起こした住宅ローン金融機関を指す。
②金消(キンショウ)
正式には「金銭消費貸借契約」
住宅を購入する際に金融機関とお金を借り入れる契約を結ぶこと。
金銭消費貸借契約書は登記に用いることがあるほか、不動産売買決済の際に買主が立ち会えない場合に金消契約時に本人確認することがあるため銀行から立会を求められることがある。事前に買主側の登記関係の書類がもらえるため事前に念入りなチェックができる。
③評価(ヒョウカ)
正式には「固定資産評価証明書」
本来固定資産税を算出するための根拠額を記載するためのもの。
登録免許税を算出するために固定資産評価額が必要になり、申請書に記載した評価額で正しいか確認するために提供する書類。
司法書士試験では添付すべき情報として求められていないにもかかわらず、提供しないとしっかり補正になる書類。最近は納税通知書のコピーを提供すれば良いとする法務局が増えてきている。
④識別(シキベツ)、識情(シキジョウ)、TSJ(ティーエスジェー)
正式には「登記識別情報」
不動産を取得した際に申請人自らが登記名義人となる際に通知される、権利を証するパスワードまたはそのパスワードを記載した法務局発行の通知書。
法律の建前では申請人みずからが登記名義人となるたびに通知されるため、所有する不動産が増えると、通知されるパスワードも増え自ら覚えておく必要があるという立て付けになっている。すべて正確に覚えている人は誰もいないため、通常は発行された状態の目隠しされた状態で保管する。登記事項証明書を確認し、特に理由がないのにも関わらず識別の目隠しが開いている際は事情を確認などの工夫が必要。
受付年月日から登記済権利証であるか登記識別情報通知が発行されているか確認する。
相続が連続している場合や、古い受付番号の場合は登記済権利証がない場合があるので事前に原本があるか確認する方が無難。
TSJ(ティーエスジェー)と呼んでいる人はあったことがない。
⑤登原(トウゲン)、原情(ゲンジョウ)
正式には「登記原因証明情報」
登記が発生する実体法上の変化の経緯を記載したもの。
オンライン申請でこれをPDFで提供し忘れると取下げざるを得なくなる。オンライン申請を行う司法書士はかなり気を遣う添付情報。順位保全のためだけの不実の登記を防ぐ目的での運用であるため順位保全の問題ではない住所変更登記ではPDFでの提供は求められていない。
⑥本確(ホンカク)
正式には「資格者代理人による本人確認情報」
登記識別情報、権利証を提供できない場合に司法書士が登記名義人と思しき人物と面談して名義人しか知りえない質問をすることで本人確認を行い、その内容を法務局に提供することで本来提供すべき登記識別情報や権利証を用いずに登記の申請をすることができる。手法としては非常にアナログでありかつ、不確実であるといわざるを得ない。不実の記載をすると懲役に処せられるなど、取り扱いが厳重であるため司法書士報酬は高額になる傾向にある。
地面師が絡んだ事件では登記識別情報通知や権利証が用意できない虚偽の理由を用意して、司法書士をだまし作成させることがある。
⑦印証(インショウ)
正式には「印鑑証明書」
書面などに押印した印影が実印登録した印影に間違いないことを証明するためのもの。
所有権の登記名義人が登記義務者になる場合や遺産分割協議書、事前通知の場合などに用いる。実印登録は1人1つのみ可能。実印は銀行印と混同されている方がいるため、印影確認の際はかなり気を遣う。法人の場合は会社法人等番号に代えることができるようになったものの、よほど取引が盛んな法人でないかぎりは印鑑証明での確認は必要になる。
⑧売契(バイケイ)
正式には「売買契約書」
不動産を売買する際に取り交わされる契約書。不動産の所在、特約などから事件の概要を読みとって登記すべき申請を特定する。特約については建物については取り壊し予定など、重要な情報が載っていることがあるので読む際は非常に気を遣う。売主の住所の表記が登記上の住所から変更がある場合は、住所変更登記が必要になる可能性が高い。
⑨賃契(チンケイ)
正式には「賃貸借契約書」
賃貸物件を借りていることを証明する書面。通常住宅用家屋証明を取得する際に、買主の現在家屋の処分証明書として提供する。現在家屋の処分証明として提供するものであるため、賃貸借期間を過ぎたものを提供しても住宅用家屋証明を発行してもらえないことがある。その場合新しいものを探してもらうか、更新の覚書を提供するか、自動更新の文言を使って処分証明とする。
⑩名変(メイヘン)
正式には「所有権登記名義人住所変更登記」など
登記上の住所から現在の住所まで変更があったことを登記する手続き。
登記上の住所から引っ越しなどがあり後の登記申請をする場合はたいてい入れる必要がある登記。この名変を落とすと後に申請される登記のすべてを却下せざるをえず、融資がある場合はその金融機関や不動産会社からの取引はなくなるものと考えた方がよい。
また多くの方にとって「登記の名義変更」が単なる住所の変更ではなく、売買や相続など権利の主体の変更を指すことも含むことから、司法書士の中だけで使うのが普通。相続登記同様義務化が決まっている。
まだまだたくさんありますがとりあえず記事にしました。
お読みいただきありがとうございました。