皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!
先日知り合いの司法書士の方からのお話で、取下げ事例のお話をうかがったので記事にします。
事例としては名変落としの事例になりますが、大量に登記事件を扱う司法書士事務所としてあり得そうなお話でしたので記事にします。
要点を明確にするために、数字は少し調整しております。
土地の登記原因は「平成1年2月1日売買」を原因とする登記
建物の登記は「平成1年3月1日」を受付日付とする保存登記が入っていたようでした。
売主様は所有者として、いずれも「東京都○○市○○一丁目2番3号」のご住所として登記されており、売買契約書の記載の住所と異なる住所で登記されていたため、住所変更登記が発生することが分かる事例だったそうです。
ここで決済の場で売主様より提供された住所変更登記に用いる住民票では、前住所として登記上の住所の「東京都○○市○○一丁目2番3号」が記載されており、現在の住所として「神奈川県○○市○○四丁目5番6号」の住民票で、住定日は「平成1年2月15日」だったようです。
ここで本来であれば、建物については「神奈川県○○市○○四丁目5番6号」の住所で所有権保存登記をなすべきですが、古い住民票を使いまわしたためか、「平成1年3月1日」時点で旧住所である「東京都○○市○○一丁目2番3号」で登記されている事例です。
表題部登記の住所から変更があった旨の変更証明書の提供もしていなかったのでしょう。
この場合なすべき登記は、土地については「平成1年2月15日住所移転」を原因とする住所変更登記、建物については「錯誤」を原因とする更正登記が必要となります。
ところがその司法書士事務所ではそれを看過してしまい、土地建物のいずれも「平成1年2月15日住所移転」を原因とする住所変更登記で申請してしまったようでした。
この場合土地と建物は別の不動産であり、氏名、住所変更などの事例ではないため一括申請の要件を満たしておらず、取り下げざるを得ません。
オンライン申請ですので、ちまたで耳にする枝番などでの対応もできない事例だったようです。
試験勉強では枠ズレで済みますが、実務にでると売買が絡んだ場合は買主の権利の保全上非常に不安定な状態にならざるを得ない事例となります。
名変は不動産登記の基本的な登記ではありますが、非常に奥深い登記であることを実感させてもらえる登記です。
以上「不動産登記取下げ事件簿②~土地と建物の名変について~」でした。
お読みいただきありがとうございました。