相続登記の不動産名義変更手続きは自分でできますか?~ご自身で相続登記をすることをおすすめできないケース~

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!

相続登記義務化が間近に迫りご自身で相続登記の不動産名義変更手続きを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

このページではどのような場合は自分ででき、どのような場合は専門家に頼んだ方が良いかひとつの基準をまとめます。

ご自身で相続登記をすることをおすすめできないケース7選

①相続人間に争いがあるケース

この場合はそもそも遺産分割協議がまとまらないため、ご自身で手続きする前提条件が整っていません。この場合は弁護士に依頼することになります。

この場合、司法書士や行政書士は当事者が話し合った内容を書面としておこすことはできても仲裁に入ったり当事者一方の代理人となったりすることはできません。

相続登記の不動産の名義変更のレベルにおいては、実は相続人間で争いがあり遺産分割協議は成立していないケースであっても適法に相続登記を入れること自体は可能です。

相続人間で争いがあるケースにおいては「遺産分割協議」が成立していない状態ではありますが、「法定相続分」の割合(民法で定められる相続人の各相続分)で共有物の保存行為というかたちで他の相続人の分も含めて申請すること自体は可能です。

しかしこれはあまりおすすめできる方法ではありません。

というのもこの方法で不動産の名義変更の申請をした場合、他の相続人には「登記識別情報通知」と呼ばれるいわゆる権利証が発行されないため、将来的に売却したり贈与したりする際に余計な手間と場合によっては費用が発生してしまうことがあります。

また遺産分割協議が成立し、法定相続分と異なる内容で協議が成立した際にはあらためて登記が必要となりますので二重に手間とお金がかかってしまいます。

さらに他の相続人の関知していないところで登記することになるため当事者にあらたな争いの種を作ってしまいかねません。

この方法はどうしても自分の権利の保全のため他の相続人の協力をまっていては間に合わない際に使うというのが本来の使い方であると思われます。

②数次相続が発生しているケース

数次相続とは、相続が連続的に発生していて、不動産の所有者として登記されている人からもうすでに死亡している人が相続人として承継している場合を指します。

この場合相続人が大量に発生することになり、法定相続人の特定や法定相続分の確定をするのは、かなり難しくなることが予測されます。

この場合は司法書士にお願いするのが一番スムーズです。

数次相続が発生している場合によく見られるのが、現在の法定相続分と異なる時代に相続が発生している場合などで、このケースになると書店に並んでいる相続に関する入門書などでは不十分になることが予測されます。集める戸籍も膨大になり昔の筆文字を読む技術なども必要になることからご、自身が登記するとかえって手間がかかるケースになることが予測されます。

③未登記不動産が含まれているケース

相続財産に未登記不動産がある場合もご自身で相続登記することはおすすめできません。

未登記不動産がある場合は、表題登記と呼ばれる不動産の物理的状態を登記する必要があります。

正確に登記する場合、専用の機材を用意するなどが必要になってきますで事実上ご自身で手続きすることは困難です。

この場合お近くの土地家屋調査士にご相談されるのをおすすめいたします。

④相続人の中に未成年者、認知症、知的障害をお持ちの方がいるケース

この場合そもそもその相続人の方は単独では意思表示することが難しいため、遺産分割協議を有効に成立させることができません。

認知症や知的障害をお持ちの方が相続人の場合は軽度であれば程度問題になってきますので一概に協議ができない断定することはできませんが、多くの場合代わりに意思表示をしてくれる人をたてる必要があります。

成年後見人がこれにあたりますが、関係当事者と利益相反になる場合(例えば成年後見人が他の相続人としての地位も兼ねている場合など)は、成年後見監督人がいないケースでは、家庭裁判所で特別代理人が必要になります。この場合も司法書士などにご相談されることをおすすめします。

⑤相続税の基礎控除を超えているケース

相続財産の資産価値が高い場合は税理士にご相談されるのをおすすめします。

相続税の基礎控除の目安は相続財産が「3000万円+600万円×相続人の数」を超える場合は基礎控除を超える可能性があります。

単純に特定の相続人に相続させるとする遺産分割協議をしてしまうと二次相続などが生じた際に、今後の相続について税金面で不利になってしまうおそれがあります。

生前にしかできない対策などもあるため、相続税の基礎控除を超えている場合は相続に力をいれている税理士にご相談をすることをおすすめいたします。

⑥直近で売却を控えているケース

直近で売却を控えている場合は司法書士に相続登記を依頼することはマストになってきます。

不動産売買は特に融資なども絡んでくると関係当事者が日時を調整して行われるため、ご自身で相続登記をした場合の内容不備による取下げや誤字脱字、添付書類不足などの補正による登記完了の遅延などがおこるリスクは極力回避すべきです。

したがって直近で売却を控えている場合は相続登記をご自身ですることはおすすめできません。

⑦長年相続登記が放置されたケース

相続登記が長年放置された場合も、ご自身で相続登記をすることはおすすめできません。

相続関係が複雑化していることが予測されます。明治時代の方が登記名義人になっていることもざらですので、司法書士にご相談されることをおすすめいたします。

特に戦前の民法は現在の民法と考え方がかなり異なりますし、戸籍の編製事由も現在とはかなり異なります。これを調べつつ正確にこなすのはかなり難しいと思われます。

この場合専門書などを調べながら申請することになりますが、専門書は高額な場合も多いため今回の手続き費用を浮かすためだけに高額な本を購入するという本末転倒なことにもなりますので司法書士にご相談することをおすすめいたします。

以上のケースがご自身で相続登記をすることをおすすめできないケースの代表例です。

提示したケースはそもそも不可能である場合や実質的に困難な場合をあげています。

司法書士の立場としては、一般論としてご自身で相続登記をすることはおすすめできません。

というのも今回この手続きを覚えたからといって今後何かに活かせるかと言われるとなかなか厳しい面があるためです。

司法書士杉並第一事務所では相続関連業務を行っております。

ご依頼は下記のお電話番号またはお問い合わせフォーム、各種SNSからご依頼うけたまわっております。

以上、「相続登記の不動産名義変更手続きは自分でできますか?~ご自身で相続登記をすることをおすすめできないケース~」でした。

お読みいただきありがとうございました。

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