開業司法書士にとっての決済ヘルプのメリット・デメリット

開業司法書士にとって仕事を受任できるかは、事務所を運営するにあたって最も重要なことの一つです。

特に開業当初お客さんがある程度見込まれていたとしても、思うように受任できるケースばかりではないと思います。

開業間もない司法書士にとって事務所を運営するにあたって「決済ヘルプのアルバイト」は、ある程度まとまったお金をすぐ手に入れられるという点で重要です。

このページでは、司法書士の「決済ヘルプ」についてのメリット・デメリットを記事にします。

1.決済ヘルプのメリット

①すぐに現金が手に入る

事務所を開業したての場合、営業をしなければ仕事は受任できません。

しかし、うまく営業ができたとしても営業→受任→入金という流れがあるためかならず入金までの時間が必ず発生します。

開業したての場合、とにかく現金が足りないので決済を行えばすばやく現金になる「決済ヘルプ」はある程度まとまったお金をすぐに手にすることができる点で大きなメリットになります。

②様々な事務所のやり方の勉強ができる

基本的に決済の方法はどの司法書士事務所の流れは同じです。

しかし、事務所ごとにやり方は微妙にことなります。

犯収法の関係で本人確認は特に重要ですが、決済を大量に行っている事務所では最新の法律にキャッチアップするために日々書式をアップデートしていますので、その事務所がどのように書類を作成しているか確認する良い機会になります。

また自分が経験したことのない登記を含んだ決済を任されることもありますので、今後自分が受任した際にその経験を活かすことができます。

③ほかの不動産会社とのつながりができる

司法書士に依頼がくる典型的な流れとして、不動産仲介の片方から司法書士に依頼が入ることが多いです。

つまり決済ヘルプを依頼した司法書士とつながっていない方の不動産会社の方と名刺交換する機会を得られるため、決済での印象が良く機会に恵まれれば、その不動産会社の方から決済の依頼を受けられる可能性があります。

2.決済ヘルプのデメリット

①自分のお客さんにはならない

基本的に決済ヘルプはアルバイトですので、一件の決済をこなしても信頼を勝ちえるのは依頼元の司法書士事務所です。タイミングや決済の印象が良いなどよほどの幸運がない限りは、自分の事務所にとって次につながるような仕事にはなりづらい傾向にあります。

つまり、今回の決済の一件で自分のお客さんになってもらうことはまれであると言えます。

この決済の間に営業ができていれば自分のお客さんになっている人を見つけられた可能性を考慮すると決済ヘルプを受任することが良いことだとは言えません。

②中長期的な事務所経営のためにはなりづらい

事務所の運営の中長期的な視点に立つと、常に決済ヘルプのアルバイトをやっている状態は良くない状態であると言えます。理由としては、その決済ヘルプのアルバイトの口が途絶えた瞬間、収入の大きな柱を失うことになるほか、決済ヘルプのアルバイトの経験は次の営業先開拓の経験にはなりづらいためです。

③懲戒のリスク

決済ヘルプについては2021年8月の『月報司法書士』にて「共同代理人として登記事件の依頼者から委任を受けるか、登記申請の復代理人となること等によって、代金決済立会において、依頼者に直接職務上の責任をとることができるような態勢にあることが必要である。」としています。

全体的な傾向としては決済ヘルプをNGとする方向に向かっているようなので、これを知らずに決済ヘルプを受任してしまうと懲戒のリスクが生じてしまいます。

3.決済ヘルプについての個人的見解

個人的な見解として理想的には決済ヘルプなどはせずに、自分の事務所で決済ができないとなった時点で受任を断ることが望ましいと思います。

しかし決済事務所の現実としては、とにかく受けられるだけ仕事を受けてしまい、資格者は本人確認だけしてあとは補助者任せ、または決済ヘルプをお願いするというのが現実です。

決済事務所にとって決済は司法書士事務所としての収益の大きな柱です。

一回決済の穴をあけるくらいなら赤字であっても受任するというくらいの事務所もあるくらいです。

根本的な原因としては司法書士が不動産会社の下請状態になっていることだと思います。

この構造が解消されない限り、会の方で決済ヘルプを禁止しても、実効性は伴わないだろうと思います。

最近はネットが普及してエンドユーザーが司法書士を選ぶための条件が整ってきました。 不動産会社指定の司法書士ではなくエンドユーザーが司法書士を選んでくれれば、少なくとも不動産会社の下請の構造からは変わってくると思われます。(そうなってくると今度は金融機関、ネット集客関係の会社の下請になる可能性が高くなるとは思われますが。)

以上、開業司法書士にとっての決済ヘルプのメリット・デメリットでした。

お読みいただきありがとうございました。

お電話でのお問い合わせはこちらから!
(TEL) 03-4400-0513
無料相談してみる(Tel)