皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!
先日行った決済でトラブルがありましたので記事にします。
司法書士には守秘義務がありますので一部脚色の上記事にします。
年の瀬迫る12月中旬の決済でした。決済の場所は埼玉の中でも比較的大きい駅近くの銀行での決済でした。
なすべき登記は「抵当権抹消」「所有権移転」「抵当権設定」の登記です。
本人確認、登記の書類が整ったことが確認できたため銀行に融資実行をお願いしました。
あとは売主様の着金確認を待つばかりという状態でした。
ここから先は穏やかな談話の時間のはずですが、銀行の担当者が血相を変えて決済のブースに入ってきました。
どうやら買主様が用意した銀行のカードの磁気不良により送金できない状態だったようです。また銀行の通帳はあるものの銀行印だと思って用意した印鑑も銀行印ではなかったようでした。これは非常に困った事態です。
今回の決済は融資銀行から買主様に融資して、そのお金の一部を残代金として売主様に振り込むという流れの決済でした。
銀行は融資を実行しているにも関わらず、売主様に着金しないかぎり実体法上不動産の所有権は売主様にあります。(売買契約の特約上、所有権移転は売主様に着金して生じることが書かれていることがほとんどです。)
つまり所有権移転登記はできませんし、抵当権設定登記もできません。
銀行は融資したのにも関わらず権利が保全されていない状態を非常に嫌います。
12月の決済ということもあり、私は次の決済予定が入っておりました。
当事者に事情を説明して、本来は望ましくないものの権利証など登記に必要な書類を持ったまま次の決済に向かいました。
司法書士としては売主様に着金確認がとれれば実体法上からも登記の申請自体は可能ですので、着金確認ができたら連絡をもらえるようにしておきました。
次の決済はスムーズにいったものの、1件目の決済が気がかりでした。
2件目の決済の後、すぐ1件目の決済の抹消銀行の近くに待機。
仲介から売主様の着金確認の連絡があったのは15時でした。銀行のカードを何度も読み取らせてみたところ何とか読み取れたとのことでした。すぐに抹消銀行から抹消書類を受領しました。
急いで事務所に戻ってすぐオンライン申請。補正などもなく無事登記は完了しました。
オンライン申請の時代でなければ時間に間に合わなかったと思います。
銀行の送金などについては、司法書士が関知できる範疇を超えているため再発防止はなかなか難しい部類ではあると思いますが、時間内に1件目の決済の完了が難しいという判断ができないと、2件ともダメになっていたかもしれません。
決済事務所では大量に決済を行うため、善悪はともかくこういった冷や汗をかく経験を積ませていただきました。
肝が冷えるので一度経験するので十分ではありますが、こうした経験も私にとって良い経験となりました。
以上、「決済でのトラブル③~買主の送金ができません!~」でした。
お読みいただきありがとうございました。