決済の場で困ること~抵当権抹消書類代理委任状について~

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です。

私は職業柄、不動産売買の決済によく立ち会うのですがそこで毎度困ってしまうことについて記事にします。

決済の場で困ることの1つに抵当権抹消書類受領委任状に押印する委任者の押印が銀行届出印で押印されているケースです。

というのも売主にローンの残債が残っている場合、売却代金の一部をつかって住宅ローンを完済することになります。

通常買主は売買契約上、担保権の負担のない完全な所有権を取得するとしているため、売主が物件購入時に設定した抵当権などは、買主に所有権移転登記をする前に抹消しておく必要があります。

決済の後、司法書士は売主が借り入れていた金融機関に出向いて抹消すべき担保権の権利証などを取得に向かいます。

担保権の権利証などは、本来担保提供者である売主に直接渡すべき書類ですが、不動産登記実務上売主が司法書士に代理で受領すべき旨の委任状を提供することが多いです。

その際、売主が委任者として銀行所定の委任状に押印することが多いのですが、多くの銀行の委任状には、「実印または銀行届出印」としていることが多いです。

実印で押印いただいた場合については、印鑑証明書と照合ができるので司法書士は安心して決済をすすめることができるのですが、銀行届出印を押印されてしまうと司法書士の側で本当に銀行届出印かどうか判断がつかないため困った事態になります。

売主は決済の場に実印を持ってきているので、あらたに押印いただくこともできますが、都内の三菱UFJ銀行などでは、銀行の社内規定で2か所以上押印がある委任状を無効としていることから、下手にあたらしく押印してもらえないこととなります。

多くの場合、売主が支店窓口で繰り上げ返済の申し込みをした際に、銀行届出印であることを確認のうえ行員の目の前で押印していることを鑑みると、このあたりで事故になったケースは経験がないものの、司法書士の立場からは裏がとれない状態であるためできれば実印を押印いただいて決済の場で確認したいというのが本音です。

以上、「決済の場で困ること~抵当権抹消書類代理委任状について~」でした。

お読みいただきありがとうございました。

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