意思確認ができず登記を断念した事例~認知症で不動産が処分できなくなる問題~

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です。

先日お話をいただいた件で残念ながら登記を断念せざるを得ない事例がありましたので、記事にします。

なお一部脚色を含みます。

売主が70代の男性の方でした。

不動産仲介の方より、売主が老人ホームに入居されており、実際の窓口は息子さんになっているとうかがいました。

老人ホームに入居とのことでしたので、遠方ではありましたがご本人様確認にうかがいました。

ご面談した所感としては、ご本人に売却の意思があると判断するのは難しいご状況でした。

住所も書けませんでしたし、ご自身が不動産をお持ちであることも理解されておらず、売却の方向でお話が進んでいることも理解していないようでした。

結論としては、私が代理人となって登記をすることはお断りいたしました。

この売主の方には当然後見人はついておりませんでしたので、順当にいけば後見人をつけてから売却する必要があると思われます。

しかしわざわざ後見人をつけてまで売却するほど高額な不動産というものではなかったように思われますので、事実上その不動産の処分は八方ふさがりで難しい状態になります。

とくに古い不動産の場合、所有者本人が死亡するまで処分ができなくなると、近隣の人も該当不動産の倒壊・管理不全のリスクを負うことから、公共の福祉の観点からも望ましくありません。

可能であれば、より簡単に医師の診断書・中立な第三者機関の承認などによって、後見に頼らなくても不動産を売却できるようになる仕組みができないものかな、と思わざるをえない事例でした。

今後こう言った事例にあたることが増えてくることが予測されますので、今後の後見業務の変化やその周辺の法改正には目を光らせておく必要がありそうです。

以上、「意思確認ができず登記を断念した事例~認知症で不動産が処分できなくなる問題~」でした。

お読みいただきありがとうございました。

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