皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!
私が5年近く決済事務所を経験したなかで、いまだに腑に落ちていない銀行の不思議な性質について記事にします。
私がずっと疑問に思っていること、それは銀行に抵当権抹消書類を取りに行った際、「債務者」名義の抹消書類代理受領委任状の提供を求められることです。
多くの抵当権では債務者と担保提供者が同一人物であることが多いため、通常さしたる問題は生じません。
ところがときおり債務者と担保提供者が異なる場合があり、その際この論点が非常に重要になります。
住宅ローンの例でいえば、マイホーム購入に親が持っている土地に、子供が融資を受けて家を建てることがあります。
この場合の債務を返済するのは子供ですので、抵当権設定登記に記載される「債務者」は子供の名前が記載されます。
当然建物だけでは担保価値はないために、親が持っている土地と子供が購入する建物を共同担保に入れて抵当権を設定することになります。
この後債務者である子供が完済した場合、抵当権の抹消登記を行いますが、驚くべきことに銀行は土地の所有者である親を無視して単なる債務者である子供の抵当権抹消書類受領委任状のみで抵当権抹消登記の書類を渡してしまいます。
確かに被担保債権の債務者は子供であるし、建物の所有者であるので子供の委任状の提供を求められるのは道理に適っているものの、親についての委任状は一切関係ないというのは司法書士の意識としては不思議な感覚なのです。
くどいようですが、抹消すべきは物権である抵当権の登記であり被担保債権は債権ですので本質的に異なる権利です。
抵当権の登記の債務者は権利義務の主体ではなく単なる登記事項に過ぎません。
いうならば債権額や利息と同じです。
しかしながら銀行は債務者に抵当権抹消登記に関する書類を返してしまうのです。
司法書士実務においては、銀行から求められる委任状は少ない方が良いので助けられている面はあるものの、司法書士の感覚で物件所有者に抵当権抹消登記受領委任状を記載してもらったら銀行からはねられてしまう事も考えると、何とかならないのかなと思わないこともないです。
以上、「不思議な銀行よもやま話~抵当権の抹消書類代理受領について~」でした。
お読みいただきありがとうございました。