住所変更登記に登記識別情報の開封が必要な意外な理由
最近の法律の改正で住所変更登記が義務化されることで決まりました。
登記は権利部についての登記は義務ではないので住所変更登記が義務化されることは登記に関する根本的な役割を見直す画期的な変更といえます。
ところでこの住所変更登記ですが場合によっては登記識別情報の提供が求められることがあるのはご存じでしょうか?
本来住所変更登記の登記原因証明情報は住民票や戸籍の附票などが該当しますが住所を海外に移すと出国までしかわからず海外の正確な住所の表記までは分かりません。
この場合、現在の住所とは異なるが登記名義人に間違いないことを記載した上申書や在留証明書などを添付して住所変更登記を行います。
またこの場合名義人しか持ちえない書類として権利証(登記済証)の提供を法務局から求められることがあります。
この場合に提供する権利証は名義人が義務者として提供するものではないため権利証でありながら原本提出のうえ原本還付処理を行います。
ここまではよくあるお話ですが問題はこの先で登記名義人が所有しているのが権利証ではなく登記識別情報通知の場合はどうなるのでしょうか?
実は登記識別情報は原本というものはありません。
確かに法務局が発行する登記識別情報通知には原本はありますが
義務者が提供すべきはパスワードであって通知書そのものではないのです。
つまり登記識別情報の原本を提供するには袋とじを開けてその中のパスワードを提供する必要があるのです。
借換や売却であれば登記識別情報通知は開封するので権利の保全上問題ありませんが住所変更登記のみを行う場合登記識別情報の原本を提供するために袋とじを開ける必要があるのです。
これは場合によっては権利の保全上リスクのある行為と言えます。
特に住所変更登記が義務化されるため住所変更登記を自分でやろうという方が増えることが想定されます。
つまり不用意に開封してしまってそのあとは開けっ放しになってしまうケースが考えられます。
ひとくちに義務化といって制度を改めてみても他の制度や関係から別の問題が発生してしまい一筋縄では解決しなえいということでしょうか。
登記もなかなか奥が深いですね。