内縁の妻に相続させたい!どうすれば良いですか?

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!

先日ご依頼のあったお客様で、内縁の妻に遺産を承継させたいという方がいらっしゃったので内縁の妻に遺産を引き継ぐ方法について記事に致します。

1.内縁の妻に「相続」はできるか

結論から言うと内縁の妻は相続できません。

内縁の妻に遺産を承継させたいという方はたくさんいらっしゃるものの、現在の日本の法律では、婚姻届をだしていない以上は、他人という取り扱いです。
長年連れ添って同居している場合であってもそれは同様です。
逆に配偶者の死亡前に婚姻届を出している場合、事実上の他人であっても法律上は配偶者となります。(いわゆる臨終婚)
なぜ実態に即した処理にならず形式的に処理するのでしょうか。
それは戸籍を見れば法律上の関係が分かるようにしておくことで、法律上の処理を簡便にするという意図があります。

そもそも「相続」できる人は民法で定まっています。
順位が若い順で相続人がとなります。以下の順位で相続人が決まります。
第一順位 子供およびその代襲相続人
第二順位 直系尊属などの親世代(被相続人から親頭の近い順)
第三順位 兄弟姉妹及びその代襲相続人(代襲相続にとなれるのは被相続人から見て甥姪まで)
配偶者は順位に関係なく常に相続人になります。

以下、根拠条文です。読み飛ばしていただいて結構です。
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
第八百八十八条 削除
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

条文を見てもイメージがつかないと思います。
重要な点はこの民法上の「配偶者」に内縁の妻は入っていないという点です。
内縁の妻は相続人となることはできません。

2.内縁の妻に遺産を承継させたい場合どうすれば良いか

では内縁の妻に相続させたい場合はどうすれば良いのでしょうか。
このような場合、大きく3つの方法で財産を遺すことができます。


①生前贈与
②死因贈与
③遺贈

①生前贈与

「生前贈与」とは、贈与者(財産を渡す人)が受贈者(財産をもらう人)に対し財産をあげてしまう事を指します。
生前に財産を内縁の妻に贈与してしまえば、相続などは関係なく財産は内縁の妻のものになります。ただしこの場合、承継する財産は贈与した段階から内縁の妻のものになるので、当然自由に処分することはできなくなります。また相続税よりも高い贈与税がかかります。

②死因贈与

生前に財産の処分権限を残し、かつ税金を安くする方法で内縁の妻に財産を承継する方法として、「死因贈与」という方法があります。
この「死因贈与」は贈与者と受贈者との間で「贈与者が死亡した時点で、事前に指定した財産を受贈者に贈与する」という贈与契約を締結することを指します。
しかしながらこの「死因贈与」は契約という法律の性質上、受贈者が財産の受取を拒否した場合には使えない方法です。この場合に適用される税金は相続税と同じであるため生前贈与よりは安くすることができます。

③遺贈

「遺贈」とは、遺言によって被相続人の財産を譲ることを指します。
「死因贈与」との違いを決定付ける相違点は、「死因贈与」が契約であるのに対し「遺贈」は「遺言」による方法という相違点があります。
つまり、「死因贈与」は受贈者が財産を承継する意思が必要ですが、「遺贈」の場合は少なくとも遺言書を作る過程では受贈者の同意は不要です。
また「死因贈与」は口頭でも成立しますが、「遺贈」は遺言書を遺す必要があります。
この場合に適用される税金は相続税と同じであるため生前贈与よりは安くすることができます。


むろんメリット・デメリットは様々あるものの、内縁の妻に財産を遺したいというケースで典型的な事例であれば、内縁の妻にしっかり財産を承継してもらうことを同意してもらった上で、「遺贈する」という内容の遺言書を作成するのが良いのではないでしょうか。

3.内縁の妻に遺贈する場合の注意点

内縁の妻に「遺贈する」とした場合には、注意点があります。
それは他の相続人との関係で生じる「遺留分」という制度です。
「遺留分」とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分を言います。
例えば被相続人に子供がいる場合、その子供は相続人であり遺留分がありますので、内縁の妻にすべて「遺贈する」とする遺言書を書いていたとしても、子供の方より遺留分侵害額請求がされた場合、遺留分を渡さなければならない場合となります。
子供がいない場合であっても親世代が生存している場合には遺留分があります。
なお兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分がある場合には、遺言書に付言事項として「遺留分侵害額請求をしないでほしい」旨を記載する方法がありますが、これは言うならばお願い事項に過ぎず、法的な拘束力はありません。

内縁の妻がいる場合で子供がいる場合、紛争になりやすい傾向にありますので遺言書を書く場合には慎重にことを進める必要があります。

相続関係が複雑になりがちなケースにおいては、一度専門家に遺言書の内容をみてもらうとことをお勧めいたします。

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以上、「内縁の妻に相続させたい!どうすれば良いですか?」でした。

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