お腹の子をのこして夫が他界しました。相続人は誰ですか?義理の親に財産が行ってしまいますか?

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です。

本ページでは、お腹の子をのこして発生した相続について記事にします。

Q. お腹の子をのこして夫が他界しました。相続人は誰ですか?義理の親に財産が行ってしまいますか?

A.お腹の子が生きて生まれれば奥さんと子供が相続人となり義理の親に財産が行くことはありません。

死産となった場合は奥さんと義理のご両親が相続人になり義理の親に財産がいくこととなります。

民法の原則上、相続権を含む権利義務の主体となれるのは出生からとされています。

以下、根拠条文です。

第三条 私権の享有は、出生に始まる。

 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

e-Govより https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

つまり権利義務の主体となれるのは生まれた瞬間から、というのが民法の原則であるため、生まれる前の胎児には本来相続権はないことになります。

夫死亡の時点で、夫の子供が妻のお腹のなかの子供だけの場合で、かつ夫の両親が生きている場合、民法上の原則では相続人は妻と夫の両親ということとなり義理の両親と遺産分割協議を行うこととなります。

この場合、妻にとって酷な遺産分割協議になることが予測されます。

義理の両親が生存しているならまだ救いはあるかもしれません。奥さんには子供がいるからと奥さんにとって有利な遺産分割協議が成立する余地が残されています。

ところが夫の両親もその上の世代も既に他界しており、夫に生存している兄弟姉妹がいる場合は、かなり過酷な遺産分割協議がまっていることは容易に想像がつきます。ただでさえ出産を控えて大変な時期に事実上赤の他人と相続について話あわなければならないこととなります。(なお遺産分割協議そのものに期限はありません)

また奥さんに不利な遺産分割協議ということとなると生まれてくる子供にとっての不利益も大きいということとなります。

こうした事情から民法は生まれてくる子の福祉の観点より、この民法の原則に例外を設けております。その例外とは、胎児については例外的に相続権を認めるとする条文です。

以下、根拠条文です。

(相続に関する胎児の権利能力)

第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

e-Govより https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

この条文の「既に生まれたものとみなす」とする記載から胎児については、現実では出生はしていないものの、法律上は生まれたものとされているため、胎児は夫死亡時点でれっきとした相続人の地位を持っていることになります。

また、法律上「みなす」という記載をしている点も非常に強い意味を持ち、反証を認めない(実際上事実がどうであるかに関係なく、法律上はその事実があったものとして取り扱うとすること)ことになっています。

この条文からはこうした強い規定を設けておくことで生まれてくる子供の権利を保護したい、という民法の思想が表れていることが読み取れます。

また民法886条は死産となってしまった可能性を見越して、この例外規定にさらなる例外規定を設けており、死産となった場合には原則通り胎児は相続人ではないものとして処理するものとしています。

なお、胎児が出生後に死亡した場合は、まず奥さんと子供が各2分の1ずつ相続し、死亡した子供について、奥さんが相続人となるという流れになります。

相続人に胎児がいる場合の具体的な遺産分割協議については、胎児が出生してから行う必要があるでしょう。

出産前の場合、死産の可能性があり相続人が不確定なほか、生まれた子供が双子などの場合には、子供の相続分が異なることとなるためです。

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以上、「お腹の子をのこして夫が他界しました。相続人は誰ですか?義理の親に財産が行ってしまいますか?」でした。

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