【お墓と相続放棄の関係】相続放棄を検討しておりますが、先祖代々のお墓はどうなりますか?承継できなくなりますか?管理義務はどうなりますか?

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です。

先日相続放棄をご依頼いただいた方よりご質問があったため記事にします。

テーマは相続放棄とお墓の関係です。

Q. 相続放棄を検討しておりますが、先祖代々のお墓はどうなりますか?承継できなくなりますか?管理義務はどうなりますか?

A.相続放棄をしても祭祀財産(お墓、位牌、祭具など)として承継することができます。

通常、相続放棄を行った場合は、被相続人がもっていた一切の財産を承継しないこととなります。

以下、根拠条文です。

(相続の放棄の効力)

民法第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

相続放棄を行ったものは、はじめから相続人ではないという取り扱いになることから、被相続人が所有していたプラスもマイナスも含めた一切の財産は承継すべき根拠を失います。

e-Govより https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

ところがお墓などのいわゆる祭祀財産については、民法上その例外とされます。

以下、根拠条文です。

(相続の一般的効力)

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

(祭祀に関する権利の承継)

第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

e-Govより https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

祭祀財産はその財産の性質上、相続財産とは切り離され慣習に従って承継されることとなっています。

したがって相続放棄した場合であっても、そもそも相続財産とはされていない以上、相続放棄の対象である相続財産とは別個に考える必要があります。

以上の理由から、相続放棄をした場合であっても先祖代々のお墓を守ることができます。

また逆の観点からは、相続放棄をしたからといって当然にお墓を管理しなくて良くなるというものではない、ということになります

以上、「【お墓と相続放棄の関係】相続放棄を検討しておりますが、先祖代々のお墓はどうなりますか?承継できなくなりますか?管理義務はどうなりますか?」でした。

お読みいただきありがとうございました。

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