【ネット銀行指定司法書士が高い傾向にある理由】住宅ローンでネット銀行指定司法書士を利用することになりました。通常の相場より高いようですがなぜですか?【イオン銀行、auじぶん銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行】

皆さんこんにちは!司法書士の関良太です。

本ページではネット銀行で住宅ローンを借り入れた場合に、ネット銀行指定の司法書士の報酬相場が、通常の相場より高い傾向にある理由について記事にします。

Q.住宅ローンでネット銀行指定司法書士を利用することになりました。通常の相場より高いようですがなぜですか?

A.大きく3つの理由があります。

①司法書士のなすべき業務が通常の金融機関より多い点

②エスクロー・エージェント・ジャパンという会社にシステム使用料を支払っている点

③銀行指定のため純粋な価格競争にはなりづらい点

以上が挙げられます。

以下3点の理由を解説していきます。

①司法書士のなすべき業務が通常の金融機関より多い点

住宅ローンを借り入れた際に必ず行われるのが不動産登記の「抵当権設定登記」です。

この抵当権設定登記は、購入された不動産が担保に出されていることを登記によって公にしておくことで、万が一債務者の返済が滞った際には、購入された不動産を国の力を借りて売却手続きを行い、売却代金からもともと借りていた住宅ローンの残債を回収するために行われます。

そして、この「抵当権設定登記」を行うにあたっては通常「抵当権設定契約書」というものが必要となります。

この「抵当権設定契約書」は通常、銀行側が用意することが一般的です。

銀行側とお金を借り、「抵当権設定契約書」を作成することを「金銭消費貸借契約」と呼びます。

多くの銀行ではこの「金銭消費貸借契約」を、銀行の支店のブースで行います。

ところがネット銀行の場合、実際の店舗というのがないことが多く、行員の数も実際の店舗を構える銀行より少ないです。

つまり通常の銀行が行う、いわゆる「金銭消費貸借契約」を行うための条件がそろっておりません。

ここでネット銀行が何を行っているかというと、本来銀行が行ってきた業務の一部を、司法書士にふって書類を集めています。

具体的には、ネット銀行所定の「抵当権設定契約書」のひな形のデータを司法書士に送り、住宅ローンを借り入れる人と司法書士と面談させ、本人確認と同時に「抵当権設定契約書」を書いてもらう、といった方法がとられています。

この方法を採ることで、ネット銀行はこの点についてのコストを安くして住宅ローンを借り入れる人の金利を安くできるようにしています。

半面、司法書士は本来行うべき業務に付加して発生する事務があるため、通常の金融機関が行う抵当権設定登記より高めの報酬を請求することがあります。

②エスクロー・エージェント・ジャパンという会社にシステム使用料を支払っている点

①の司法書士が行う業務が増えているという理由のほかに挙げられるのが、多くのネット銀行はエスクロー・エージェント・ジャパン(以下、EAJ)という会社と提携していることが挙げられます。

このEAJはネット銀行から依頼を受けて、提携先の司法書士事務所に抵当権設定登記の依頼をすることや、ネット銀行に対して進捗している案件の内容を逐次報告するためのシステムを提供しています。

EAJと提携している司法書士は、ネット銀行からきた依頼を定期的かつ大量に司法書士に割り振ってもらう代わりに、システム使用料という形でお金を支払っています。

このシステム使用料が、司法書士の倫理規定で禁止されている紹介料などの「不当誘致」に該当するのではないかという議論があり、司法書士の業界内では議論が紛糾しているようです。

すべてのネット銀行の案件でEAJのシステム使用料が関わっているわけではないようですが、このシステム使用料がネット銀行指定の司法書士の報酬相場をあげている一因であることは間違いがありません。

③銀行指定のため純粋な価格競争にはなりづらい点

銀行指定の司法書士の場合純粋な価格競争にはなりづらい傾向にあります。

一般論として同じサービスが供給される場合であっても、供給者の数が増えれば価格競争が起こり価格は下がります。

この点銀行指定の場合には、銀行指定の時点で独占市場ができてしまうため、多少司法書士の報酬が高いなど利用者が不利な条件であってものまざるを得ません。

銀行指定の司法書士がいるケースはネット銀行に限られませんので、独自の理由とは考えられませんが、一般論からは割高になってしまう理由の一つに挙げられます。

ただ一方で、銀行側としては利用者に不利な条件を付ける司法書士は紹介してしまうと銀行の信頼を損なってしまうリスクを負っています。

また通常「抵当権設定登記」は銀行側がメリットになるにも関わらず、その登記費用は住宅ローンを借り入れる人が負担するものというのが商慣習です。

つまり銀行側としては極力安い司法書士だと紹介しやすくなります。

この場合の銀行側のメリットとしては、銀行側のやり方を良く知っている司法書士に依頼し、無駄な作業を減らしコストを下げたいというニーズがあるため、リスクを負ってでも事情を良く知る提携先の司法書士を指定することがあります。

これにより、ネット銀行指定の司法書士は、報酬相場が高くなる傾向があります。

以上、「【ネット銀行指定司法書士が高い傾向にある理由】住宅ローンでネット銀行指定司法書士を利用することになりました。通常の相場より高いようですがなぜですか?【イオン銀行、auじぶん銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行、PayPay銀行】」でした。

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