皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!
とあるネット銀行の決済のやり方が司法書士の感覚に照らしてびっくりすることがありましたので記事にします。
とある住宅用融資のネット銀行なのですが、驚くことに決済の前に融資の実行がなされるネット銀行があります。
当然抵当権設定契約登記の前提条件として、買主に所有権移転登記がなされる必要があります。
司法書士としては「お金が動く前」つまり銀行の融資実行の前や買主がお金を支払う前に売主買主双方の本人確認をした上で、きちんと銀行・買主の権利が保全されるよう登記関係の書類がそろった時点で融資の実行をしたいものです。
ところが、そのネット銀行は決済開始前に融資の実行をしてしまうので、例えば決済の日に売主が来られず本人確認できないことや、売主が実印をなくしたなどイレギュラーがあると銀行側は融資を実行したのに権利が保全されていない危険な状態になります。
・・・・というのが司法書士の意見です。
これを実際に行っているのは銀行側ですので、そのリスクを加味した上で事務処理のコストを下げたという経営判断だったのだろうと思います。
登記実務の慣習ではないものの実体法上も問題ありません。
メガバンクなどではありえない実行方法ではありますが、ネット銀行のなかにはこうした方法で融資を行っているところもあります。
司法書士はリスクを最小化することに腐心しておりますが、銀行の方でリスクとコストのバランスを取ろうとしているのであれば、登記に対する意識をアップデートする必要があるのではないかと考える一例になると思います。
このコストカットが金利の安さにつながっているならエンドユーザーの利益にもなっていると思います。
ただ一方で依頼者が見えていないリスクを顧客に伝えるというのも司法書士の職責ではあるので結構難しい問題なのかなと思います。
一概に正解のない部分だろうと思われます。個々の司法書士の先生の考え方しだいになろうかと思います。
以上、「とあるネット銀行の決済のやり方で驚いた一件」でした。
お読みいただきありがとうございました。