皆さんこんにちは!司法書士の関良太です!
2024年は50歳以上の方が5割を超えるとの試算がだされているようで、親世代の相続に悩まれている方も増えているのではないでしょうか。
その際に有効な生前対策として「遺言書」を遺しておいてもらう方法があります。
ところがこの「遺言書」は民法の要件に適式にあうように書かないと無効になってしまうほか、手書きの方式で書いた遺言書については相続人が裁判所で手続きをする必要があることはご存じでしょうか。
本ページでは、「遺言書」を作成するうえで、裁判所での手続きがいらなくなる方式の「遺言書」の作り方を記載します。
目次
1.手書きの遺言書を見つけたら必要な「検認手続」とは
亡くなった方のお部屋を整理していたら、手書きの遺言書が出てきたというお話や介護施設のケアマネージャーの方から遺言書を預かったというお話はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。その際に手元にある遺言書を「自筆証書遺言」といいます。
自筆証書遺言を発見した相続人は、発見次第すみやかに裁判所での「検認手続」を行う必要があります。
この「検認手続」とは一体どういった手続きなのでしょうか。
「検認手続」とは遺言書の偽造を防ぎ遺言書を確実に保全するための手続です。
封筒に入った遺言書は開封せずに裁判所での検認手続が必要となります。
理由なく開封した場合、5万円以下の過料(罰金のようなペナルティ)が課されることがありますのでご注意ください。
「検認手続」の流れ
「検認手続」の大まかな流れは以下のとおりです。
①遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申し立て
②家庭裁判所から各相続人に対して検認を行う日を通知(申立てより1~2か月程度)
③検認の日に申立人が遺言書を提出、出席相続人立会のもと、裁判官が遺言書を開封して検認(相続人全員の出席は不要、欠席によるペナルティなどはありません。)
④検認済の遺言書にはその旨の記載がされ返還
裁判所はお役所ですので時間が取れない相続人にとっては負担になる可能性があります。
では「検認手続」を回避する遺言書の方法はないのでしょうか。
2.「検認手続」が不要な方法Ⅰ~公正証書遺言~
「検認手続」を回避する遺言書の方式として「公正証書遺言」の方法があります。
「公正証書遺言」とは、公証人が遺言者の面前で遺言の内容を確認しながら作成する遺言書の方法です。原本は公証役場に保管されるため、遺言書の偽造、改ざんなどが事実上不可能ですので、裁判所での「検認手続」が不要となります。
基本的に専門家に遺言書作成を依頼するとまず最初におすすめされるのがこの遺言の方式です。
遺言書の偽造、変造のリスクがない他、原本がなくなるリスクもなく、元裁判官、元検察の方が公証人となって内容を確認するため、内容不備での無効のリスクを最小限にすることができます。
最大のデメリットとしては、公証役場に支払う手続き費用が発生してしまう点です。
手続き費用は相続財産の額などによって決まってきます。
公正証書遺言作成の流れ
「公正証書遺言」作成を司法書士に依頼した場合の大まかな流れは以下のとおりです。
①司法書士に問い合わせ
②司法書士とご面談
③戸籍など必要書類の取得
④公証役場に事前予約
⑤公証人と内容確認
⑥公正証書遺言の正本、副本の受領
(公正証書遺言の作成について)
3.「検認手続」が不要な方法Ⅱ~遺言書保管制度~
遺言書の作成にはお金をかけたくないが、相続人に負担もかけたくない場合の方法として法務局が提供しているサービスの「遺言書保管制度」があります。
手書きの遺言書の原本を法務局にもっていき、保管してもらう制度でこちらも遺言書の偽造、変造のリスクがないため「検認手続」は不要です。
手続き費用は実費部分で3900円となっており、費用を抑えつつ「検認手続」の負担もないありがたい制度です。
また実際に相続が発生し、戸籍の書き換えが起こると法務局に通知が行くことになっており、遺言書保管制度利用時に法務局に提出する申請書に遺言書がある旨を通知しておきたい人を登録しておくことで、相続発生後相続人に遺言書があることの通知がいくようにすることもできます。
デメリットとして、「遺言書保管制度」はあくまで遺言書を預かる制度に過ぎず、内容が適法であるかなどの判断はされません。
内容の調査には立ち入らないため、場合によっては遺言の内容の実現がかなわない場合もあります。
内容も含めて遺言書作成のサポートが必要な場合は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
「遺言書保管制度」の流れ
「遺言書保管制度」の大まかな流れは以下のとおりです。
①自筆証書遺言の作成
②遺言書保管制度利用の利用申込書記入、住民票の用意
③管轄法務局の事前予約
④管轄法務局に書類提出、保管証の受領
①自筆証書遺言の作成
自筆証書遺言は4点要件があります。
原則的に全文を自筆すること、名前が記載されていること、日付の記載があること、押印があることです。詳しくは自筆証書遺言の書き方についてをご覧ください。
「遺言書保管制度」を利用する場合、利用する用紙のサイズや書けるスペースにも定めがあるため、こちらも事前に確認しておく必要があります。
A4サイズの用紙片面に記載するほか、A4の用紙の上5mm、右の幅5mm、左の幅20mm、下10mmの余白が必要になります。また数通にまたがる場合はページ番号を付す必要があります。
ご不安な場合は下記の弊所の電話番号にご連絡ください。
②利用申込書の記入
利用に際しては法務局が提供する利用申込書の記載が必要となります。(利用申込書法務局のリンク)
また本籍、筆頭者入りの住民票の用意が必要です。
③法務局の事前予約
利用申し込みにあたっては事前予約が必要になります。
管轄法務局に連絡して予約をしてください。
管轄法務局はいずれかに該当する場合に管轄になります。
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者の所有する不動産の所在地
④法務局に書類提出、保管証の受領
用意した書類を持参して管轄法務局に行きます。
本人が法務局に出向く必要があり代理人によることはできません。また郵送も不可です。
書類を提出すると受理に40分程度時間がかかります。
この間に手数料の3900円分の収入印紙を購入しておくことができます。
保管が受理されると以下の様式の保管証が発行されます。
この保管証があると、今後遺言書を撤回する場合などに、スムーズに処理することができますので大切に保管してください。保管証をなくされていても、遺言書の効力に影響はありません。
(関良太の遺言書の保管証)
右上には遺言書保管のためのバーコードが記載されます。また保管番号として14桁からなる英数字の保管番号が付されます。
以上「自筆の遺言書は裁判所の手続きが必要?裁判所での「検認手続」と検認を不要にする2つの方法」でした。
遺言書を作成する際は、相続人にとって負担の少ない方法をとることが重要です。
司法書士杉並第一事務所では遺言書作成のサポートを行っております。
初回相談無料です。(報酬一覧のリンク)
お問い合わせは以下の電話番号、またはお問い合わせフォーム、各種SNSよりご連絡ください。
お読みいただきありがとうございました。